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白目を使う

NHKスペシャル「46億年人類の旅」で、ひとついいことを聞いたよ。

人間には「白目」があるけど、他の霊長類にはないんだって。
白目があると、どこを見ているかが相手にわかり、
どこを次に攻撃するかが読まれてしまい、戦いに不利なんだって。
でも人間には、白目がある。なんでだろ?

そういえば、大学の人類学の授業で、
生物の身体は、生物の生態にあわせて変わるものであって、
身体の構造にあわせて生態が変わるのではない、と聞いたことがある。

たとえば、人間は骨盤が発達しているので直立二足歩行ができる。
でもそれは骨盤が発達しているから二足歩行を始めたのではなく、
二足歩行するという行動に合わせて、骨盤が発達したのだ、と。

白目も同じみたい。

白目のある人間がいて、それでも生き残れたのではなく、
人間の生態に合わせて、白目ができた。
つまり、どこを見ているかを知ったり知らせることが「必要だった」から、
人間には白目ができた、と。

「白目ができる→表情がうまれる→感情を伝えられる→高度なコミュニケーションがとれる」
というより、正確には
「高度なコミュニケーションが必要→感情を伝えることが必要→表情が必要→白目が必要」。

あなたを見ていますよ、これ以上やると攻めますよと牽制して戦いを避けたり、
あなたを見ていませんよ、攻撃する気はありませんよと知らせて戦いを避ける。

白目をうまく使うと、戦いが回避できる。

そう考えると、見慣れた白目もなんだか新鮮。


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追記(10/4)
ちょっと、主観や憶測が混じって紛らわしくなっていたので追記させてください。まるで、「高度なコミュニケーションが必要→感情を伝えることが必要→表情が必要→白目が必要」という順番で進化したのが事実であるかのように書いてしまったけれど、これは、「こう考えられるのではないか、こう考えたら面白いのでは?」と私が感じたことであって、NHKの番組で事実として紹介されていたわけではありません。紛らわしい書き方になっていてすみませんでした。

◇以下、NHKのサイトから引用◇

フォベアの獲得
そこで、一部の霊長類(真猿類)は目を進化させた。それは「フォベアによる高い視力」の獲得だ。フォベアとは、網膜のなかで視細胞が集中しているところ。フォベアがあると、視界の中心付近は格段によく見えるようになる。研究者は、寒冷化のエサ不足のなか、このフォビアを獲得した霊長類は高い視力によってエサを効率的に見つけることで、厳しい生存競争を生き抜いたのではないかと考えている。

‘ともに生きる’社会へ
こうした目の進化はその後、思わぬ進化を私たちにもたらした。それは「豊かな表情」という進化だ。フォベアを持つサルの仲間、真猿類は動物のなかでも「表情が豊かである」という共通点がある。ゴリラしかり、チンパンジーしかり、そして人類ももちろんそうである。そうした豊かな表情が進化した理由は、明白だ。高い視力によってお互いの表情を見分けるようになったことだ。真猿類は、表情を介するコミュニケーションを構築しはじめたのだ。それは社会を構築する第一歩になった。サルの群れは個体を認識することで役割分担を積極的に推し進め、“ともに生きる”社会へと歩みはじめたのである。
立体視・高い視力・社会の形成。目の進化には、霊長類進化の道筋が隠されているのである。
by aco_325 | 2004-10-05 02:17 | レビューなど